Live Multi StudioをTouchDesignerで使ってみる

 

はじめに

先日、TBSテレビがLive Multi Studioの無償提供を公開しました。
超低遅延で映像・音声・制御の信号を別々に送れるそうなので実際に使ってみました。

Live Multi Studio(LMS)とは

Live Multi Studio(以降LMS)は株式会社TBSテレビと株式会社WOWOWが共同で開発した次世代の超低遅延映像・音声・制御信号伝送プロトコルです。
LMSには以下のような特徴があります。

  • 現場発信:TBSとWOWOWが独自開発。現場の要求水準を満たす高品質サービス
  • 超低遅延:0.1秒以下の超低遅延伝送と、パケットロス再送要求による安定性も両立(※特許7431207号)
  • 簡単接続:インターネット経由にも関わらずポート開放不要
  • 制御信号:リモートカメラなどの制御が可能
  • 高信頼性:最新の暗号化技術「ChaCha20-Poly1305」でデータを暗号化
LMSにはTouchDesigner用のプラグインが用意されているので簡単に使用することができます。

TouchDesignerでLMSを使ってみる

環境構築

※TouchDesignerのインストール方法は省略します
LMSを使うにはIDが必要な為、まず公式HPで会員登録(無料)を行います。
アカウント作成時にIDが発行されます。

アカウント作成後、「TouchDesignerプラグイン」をダウンロードします。
ダウンロードしたプラグインは所定の場所に置きます。
  • Windows:「C:/Users/<username>/Documents/Derivative/Plugins」
  • Mac:「/Users/<username>/Library/Application Support/Derivative/TouchDesigner099/Plugins」
するとTouchDesignerのOP Create DialogのCustom内にLMSのプラグインが表示されます。
これで準備は完了です。

映像を伝送してみる

まずLMSを使ってPCからiPadに映像を伝送してみます。
映像を送信するにはLMS Video Out TOPを使用します。
今回はTouchDesignerでお馴染みのバナナを回転させた映像をLMSで伝送してみます。transform TOPでバナナを回転させ、LMS Video Out TOPに接続します。
送信側のLMS設定手順は以下の通りです。
①LMS Video Out TOPにアカウント作成時に発行されたIDを入力し、Channelの値を設定。Channelは1~255の範囲で設定することができます。
②Pulseを押し、送信を開始。

次に受信端末であるiPad側の準備を行います。
受信側のLMS設定手順は以下の通りです。
①App StoreからLMSのアプリをインストールします。
②アプリを起動後、画面下のタブでPLAYERを選択。
③送信側のLMS Video Out TOPで設定したID、Channelを入力。
④受信する映像信号のDelay値を設定します。Delay値が少ない方が遅延が少なくなりますが、その分パケロスの確率が高まります。今回は500msで使用しました。
⑤Startボタンを押し、受信をスタートさせる。

上記の手順を行うと、送信側PCで作成したバナナを回した映像をiPadで受信することができました。



制御信号を送ってみる

次に映像と同様にPCからiPadに制御信号を伝送してみます。
制御信号を送信するにはLMS Control Out TOPを使用します。Button COMPのオン信号をLMS Control Out TOPに接続します。
送信側のLMS設定手順は以下の通りです。
①LMS Control Out TOPにアカウント作成時に発行されたIDを入力し、Channelの値を設定。Channelは1~255の範囲で設定することができます。
②Pulseを押し、送信を開始。

次に受信端末であるiPad側の準備を行います。
受信側のLMS設定手順は以下の通りです。
①アプリを起動後、画面下のタブでTALLYを選択。
②送信側のLMS Video Out TOPで設定したID、Channelを入力。
③Startボタンを押し、受信をスタートさせる。

上記の手順を行うと、送信側PC上のButton COMPのon/off信号をiPadで受信することができました。

まとめ

今回はTBSとWOWOWが開発したLMSを使ってみました。TouchDesignerを使えば、映像・音声・制御の信号を簡単に伝送できることが分かりました。TouchDesignerには、様々なデバイスのプラグインが用意されているので組み合わせるのも簡単にできそうですね。
次の記事では実際に番組制作に使用した事例を紹介します!
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