やってみてわかった!VR体験イベント運営のポイント
2025年3月15日、MBS本社1階にて「MBS大感謝祭」というイベントを開催しました。
このイベントでは、3つの番組から、それぞれの番組内容にちなんだ無料の体験ブースを出展しました。
私はその中の一つ、番組のMC気分を味わえるVR体験ブースを担当しました。
VRイベント運営の経験が全くなく、十分な知見もないため不安がありましたが、大きなトラブルもなく無事にイベントを終えることができました。
開催時間中はほとんど途切れることなく列ができ、最終的には計454名の方に体験していただくことができました!
ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
VRイベントの準備を進める中で、撮影・編集方法や運営のコツに関する情報がインターネット上にあまりなく、試行錯誤を重ねる場面が多くありました。
今後VRイベントを実施される方の参考になればと思い、本記事では撮影・編集、運営の工夫についてまとめました。
VR体験ブース概要
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開催日
- 2025年3月15日(土) 10:00~18:00
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内容
- MetaQuest3を使用した180度VR動画体験
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MCの視点でスタジオ入りし、芸人さんとのお決まりのパターンの掛け合いを楽しめるコンテンツ
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体験者がMCになりきり、上手に掛け合いができたら番組グッズをプレゼント!
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運営体制
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VRブースは2レーン用意し、各レーンは説明担当スタッフと機材担当スタッフの2名体制
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VRブースのスタッフに加えて、列整理担当スタッフ1名・並んでいる間に注意事項を説明するスタッフ1名の計6名で運用
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MetaQuest3は各レーンに1台ずつ、それに予備1台を加えて計3台を用意
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1. 撮影・編集について
収録の合間に撮影を行いました。
セット裏の控室から、スタジオに入り、ひな壇の芸人さんと掛け合う様子をMC目線で撮影しました。
実際の尺としては約1分程度です。
撮影には Canon EOS R5(8K対応のカメラ)にDUAL FISHEYE(2つの魚眼レンズを搭載したレンズ)を装着し、撮影を行いました。
撮影時のポイント
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SDカードについて
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最大書き込み速度 260MB/s のSDカードを使用 (8K映像の記録にはある程度の書き込み速度が必要)
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8Kで撮影する場合、1分で数GBになるため、空き容量に注意
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VR酔い対策
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手ブレを防ぐために Ronin(スタビライザー) を使用
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VR動画は本来カメラを固定するのが望ましいが、今回は動きが必要な演出だったため、極力ゆっくり移動
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音声の工夫
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360度マイクを使用して空間音声を収録することで、本当にひな壇の芸人さんに呼びかけられているような、臨場感のある体験を実現
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音声編集時にスタッフの音声を除去することで、MC気分をさらに強調
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映像の変換
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撮影後、カメラとPCを接続し、取り込みソフト(EOS Utility)を使用して撮影した動画をPCに転送
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変換ソフト(EOS VR Utility)を用いて、2つの魚眼映像を180度3D VR動画に変換
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いずれのソフトもカメラの製品番号があれば、以下のサイトから無料でダウンロード可能
https://personal.canon.jp/product/camera/software/utility https://personal.canon.jp/product/camera/software/vr-utility
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編集作業
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Adobe Premiere Pro を用いて、映像と音声を統合
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よりスムーズに運営するために、以下のような映像・テロップを追加
- ゴーグルの装着時間を考慮し、開始前に15秒のカウントダウン映像
- お客さんがMCになりきって話しやすくするためのセリフテロップ
- 体験終了後に、ゴーグルを外すよう促すテロップ
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2. 運営について
体験者の方にはMCになりきって掛け合いをしてもらい、その出来栄えに応じて番組グッズをプレゼントしました。
運営の流れ
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注意事項の説明
・MetaQuest3の公式ページに従い、体験可能年齢は10歳以上に設定 -
VR体験
・ニンジャマスク※装着後にVRゴーグルを装着
※VRゴーグルとの接触部分の衛生を保つために使用する、目元を覆う薄手の使い捨てマスク -
出来栄え判定
・MetaHorizonアプリをインストールしたiPadでMetaQuest3の映像をミラーリング
・ミラーリングした映像を見ながら、掛け合いが出来ているかをスタッフが判定 -
番組グッズプレゼント
・掛け合いの出来栄えに応じて番組グッズをプレゼント
運営時のポイント
以下のような工夫により、スムーズな運営が出来ました。
その結果、1名辺りの体験時間は約2分程度となり、想定よりもより多くの方に体験していただくことが出来ました!
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並んでいる間に注意事項を説明
- VRブースでの説明が不要となることで、1レーンあたりの回転率が向上
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本体設定の工夫
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スリープを無効化
- 眉間の辺りにセンサーがあり、そのセンサーが暗くなると強制的に画面がスリープ状態に
- センサーに赤いビニールテープを貼り、反応させ続けることで、実質的にスリープをオフに
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境界線機能をオフ
- VRゴーグルを装着すると、安全確保のために境界線(ガーディアン)の作成が必要
- この境界線を越えると、境界線の再設定が必要になり、時間のロスが発生
- 今回は座った状態での体験のため、安全と判断し、詳細設定から物理的空間機能(境界線機能)をオフに
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動画キャプチャインジケーターをオフ
- デフォルト設定ではミラーリング中や画面録画中に、画面中央に赤い点が発生
- 今回は常にミラーリングを行うため、カメラの設定から動画キャプチャインジケーターをオフに
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全てスタッフが操作
- スタッフが全ての操作を行い、お客さんにはゴーグルを付けてもらうだけの状態にすることで、円滑な運営を実現
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常に急速充電
- 充電がない状態だと2~3時間程度で充電切れ
- MetaQuest3付属のACアダプタと急速充電(PD)対応ケーブルで、常に急速充電していたため、イベント中の8時間、ほとんど充電は減らず
※急速充電ではない充電の場合は、消費量の方が大きくなり、徐々に充電が減少
※ただし充電しながらの使用は、本体バッテリーが劣化する可能性があるため注意
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ミラーリング機能の活用
- ミラーリングのためにはiPadとMetaQuest3を同一ネットワークに接続
※ミラーリングにはインターネット接続が必須なためローカルWi-Fiは不可 - 人が多い時間帯だと、iPadのミラーリング映像が不安定に
- ミラーリングのためにはiPadとMetaQuest3を同一ネットワークに接続
3. 反省点
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動画の再生方法について
体験者がゴーグルを装着した後に、運営側で動画を再生する形が理想でしたが、標準のファイルアプリでは外部から動画の再生を制御する手段を見つけられませんでした。
PCとMetaQuest3をLinkケーブルで接続し、PCの映像をMetaQuest3方法も検討しましたが、通信量のせいか8K映像だとカクつきが発生しました。
MetaQuest3のローカルストレージに入っている8K映像を再生する際にはカクつきが発生しなかったため、今回はスタッフ側で動画を再生してからを渡す方法を採用しました。
VRゴーグルの装着の手間
MetaQuest3のゴーグルは、画像の赤丸の部分を内側に引っ張ると緩まり、外側に引っ張ると締まります。
これが初めてゴーグルを触る方には中々難しく、さらに調整の際にニンジャマスクや眼鏡がずれてしまうケースもあり、かなり装着しにくいという問題が発生しました。
そのため、イベント後半からは、体験中はバンドを頭にかけずに、手でゴーグルを持ってもらう運用にしました。
Meta公式が出しているダイヤル式のストラップがあれば、もっと簡単に調整出来て、よりVR体験に集中してもらえたかもしれません。
ネットワーク環境の安定性
人が増える時間帯だと、Wi-Fiが不安定になり、掛け合いの出来栄えが判定しにくくなってしまいました。
今回のような人が多いイベントの場合は、MetaQuest3とiPad、どちらも有線LANで接続する運用を考えても良いかもしれません。
今回の経験をもとに、今後さらに良いVR体験を提供できるよう改善を重ねていきたいと思います!
本記事がVRイベントを企画される方の参考になれば幸いです!