2026 NAB Show 参加レポート

はじめに

2026年4月19日〜22日に開催された「2026 NAB Show」の視察に行ってきました。
一昨年、昨年に引き続き、今年も現地の様子をレポートいたします。


私自身、今回が初めてのアメリカ、初めてのNAB Show参加となりました。
先輩方の過去のレポートを読み込み、気合十分でラスベガスへ乗り込みました!

NAB Showとは

NAB Showとは、全米放送事業者協会(National Association of Broadcasters)が主催する、世界最大級の放送機器・メディアソリューションの展示会です。
103回目の開催となる今回は、数年にわたる大規模な改装を終えたCENTRAL HALL、WEST HALL、NORTH HALLの3つのホールで開催されました。

公式サイトによると、今年の参加者は58,000人以上とのことでした。そのうち初参加が48%を占めており、会場で見かける全員が熟練のNAB Show参加者に見えた私にとっては、この数字はかなり意外でした。

Inter BEEなどの国内イベントに比べて参加者は多いですが、会場もその分広大なため窮屈さはなく、快適に視察を行うことができました。

例年より開催が遅かったためか、ラスベガスの気候は想像以上に暖かく、「半袖+ジャケット」の軽装でちょうど良い陽気だったことも印象的でした。
また、噂には聞いていましたが現地は思っていたよりも乾燥しており、静電気にはかなり苦しめられました。ラスベガスで金属の扉を触る際には、細心の注意を払うことをオススメします。

移動システム「Vegas Loop」

各会場を繋ぐ地下輸送システム「Vegas Loop」も体験してきました!

「乗車までかなり待たされるのでは?」と予想していましたが、ほとんど待ち時間はありませんでした。
会場間の移動に時間を取られなかったのは、嬉しい誤算でした。

現在はまだ自動運転ではなく、多くのドライバーさんによる人海戦術で運用されていました。
乗車中にドライバーさんとちょっとした会話を楽しめるのも、海外展示会ならではの醍醐味だと感じました。

2026 NAB Showの所感

3日間の視察中、平均して1日2万歩ほど歩き回りましたが、それでも時間が足りないほどのボリュームがありました。
その中で私が感じた今年のNAB Showの印象をお伝えいたします。

1. AI技術の躍進

AIは「実験」のフェーズを通り越し、現場で即戦力となる「機能の高度化」が目覚ましい段階に入っていると感じました。
これまで専門機材や膨大な手作業が必要だった工程が、AIによって簡略化・自動化されている点が印象的でした
個人的に気になったのは以下のAI技術です。

■ AIキーイングと深度推定
AIによって、グリーンバック不要でカメラ1台のみで背景を分離できることに加え、人物と背景の「前後関係(奥行き)」をリアルタイムで推定できていました。

■ AIブラー除去とスロー映像生成
激しい動きによる映像のボケ(ブラー)をAIが補正し、不足したコマを生成して補完します。
高価な専用スローカメラを用意しなくても、通常映像から高品質なスローモーションを作り出すことが可能とのことです。

■ ライブ多言語展開
ライブ映像からの文字起こし、翻訳、音声合成をリアルタイムで実行できるとのことでした。
多言語の字幕・吹き替えが自動化されており、配信の付加価値を瞬時に高める仕組みが実用化されていました。

2. オープン規格へのシフト(MXL・OMT)

今回のNAB Showで大きな潮流だと感じたのが、「特定のベンダーに依存しない、オープンな制作環境」への移行です。
特に、次世代の共通規格として注目されていた「MXL」と「OMT」の存在が印象的でした。
これらは、特定の独自技術に縛られることなく、メーカーを問わず異なるツールを組み合わせて柔軟なシステムを構築することを可能にします。

■ MXL (Media eXchange Layer)
アプリケーション間で映像データを「コピーして送る」のではなく、「メモリ上の同じデータを共有する」技術です。
データの移動処理を省くことで、これまで課題だったコンピューター内部の負荷と遅延を最小限に留めることができます。
API経由での連携も可能で、独自の自動化プログラムを制作フローへスムーズに組み込めるようになります。

■ OMT (Open Media Transport)
ロイヤリティフリーかつオープンソース(MITライセンス)で開発されている、新しいIP映像伝送プロトコルです。
NDIに近い低遅延・高画質を標準的なネットワークで実現しつつ、ライセンス費用が必要ありません。
弊社内でも利用しているソフトウェアスイッチャーでも既に対応しており、今後導入が広がっていくような印象を受けました。

今後、これら共通の土台が整うことで、クラウドやオンプレミスを問わず、状況に合わせて柔軟にリソースを運用するスタイルがより現実的になっていくと感じました。

まとめ

今回の視察でお世話になった皆様に、改めて心より感謝申し上げます。

NAB Showへの参加は、日頃活用している製品の開発者の方々と直接対話を重ねることができる、展示会ならではの貴重な機会となりました。

現地では、拙いながらも自分の英語で思いを伝えようと、精一杯の対話を試みました。
伝えきれない部分は翻訳アプリや身振り手振りで補い、なんとか食らいつきましたが、自分の考えを伝えきれないもどかしさを感じました。
また、各ブースでの議論や同業他社の方々との交流を通じて、最先端の技術を理解し、議論を深めるためには、その土台となる基礎知識が不可欠であると改めて痛感いたしました。

今後は最新技術のキャッチアップと並行して、「英語力」と「技術の基礎」もセットで底上げしていきたいと考えています!
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