2024 NAB Show 参加レポート

2024 NAB Show

こんにちは。樋口です。
先日の記事でGoogle Cloud Next’24の参加についてご紹介しましたが、それに引き続き4/13から同じくラスベガスで開催された2024 NAB Showを視察しましたのでそちらの様子をお伝えします。

NAB Showとは

NAB Showとは全米放送事業者協会(National Association of Broadcasters:NAB)が開催する放送機器・メディアのソリューションの展示会です。最近10年以上はラスベガス(2020,2021はCOVID-19の影響で中止)で開催されているイベントです。

世界各国から放送機器メーカー、放送局、プロダクション関係者、昨今はクラウド・配信事業者など数万人が参加する規模の大イベントです。
2023年のNAB Showには65,013人が登録したようです。(ATTENDANCE ANNOUNCED FOR CENTENNIAL NAB SHOW-NAB Show)

ちなみに日本で開催される放送機器の展示会InterBEEには2023年には31,702人が来場したようです。(【プレスリリース】Inter BEE 2023、幕張メッセに31,702 名が来場-InterBEE)
(思っていたよりInterBEEの参加者は多いなと記事を書きながら感じました…笑)

↑会場マップ。各ホールがそれぞれ幕張メッセの展示ホール1~8の合計と同じくらいの大きさ(最近のInterBEEでは全て使うことはないですが)と考えると、その広さがわかるかと思います。

The Vegas Loop 各会場間の移動はこれを使って楽々。特にCentral Stationは近未来な感じがしました。テスラ車がひっきりなしに走ってますが、現状は自動運転ではなく大量のドライバーを動員しての人海戦術。なんと何回乗っても無料。

また先週行われたGoogle Cloud Nextとの比較ですが、私の体感では日本人の割合はNAB Showの方が多かったように感じられます。放送機器において世界的なシェアが高い日本企業も多いですので、出展者側としても多くの日本人がいることも理由の1つでしょうか。

それでも当然ながら現地アメリカ人・日本人以外の参加者も多く、私がホテルから会場に向かっている際にNAB Showのバッジを下げた方と話しながら向かっていましたが、話を聞くとバヌアツの放送局で働いているようでした。人生でバヌアツの方とお話ししたのは初めてでしたが、それだけ世界中から放送や映像制作の関係者が集まっているという証左です。

2024 NAB Showの所感

本記事では個別の製品やサービスについては言及しませんが、私が主に調査対象として見ていたジャンルや会場全体を歩いてみて感じた印象を書いてみます。

SDIからIPへの流れ

現在世界中の放送をはじめとする映像業界では、同軸ケーブルで映像を伝送する仕組み(SDI:Serial digital interface)が一般的に普及していましたが、ここ5,6年の間に汎用的なIP(Internet Protocol)を使って伝送する仕組みにシフトしつつあります。

IPのメリット・デメリットはいくつもありここでは割愛しますが、放送機器メーカーも長らくSDIの仕組みで映像伝送や制作システムを作っていましたが、ここ数年はIPを活用したものも続々と開発し、このNAB Showの場で発表することも増えています。

放送局の技術者はその過渡期において、現在のSDIの仕組みを把握しつつも、次の時代の中心的な技術になるであろうIPの仕組みや新製品・システムなど業界の動向に注目しなければなりません。
我々も多分に漏れずその調査で訪れましたが、日本のメーカーはもちろん海外のメーカーもIP機器の開発に熱心です。

今回注目したのはIPという汎用的な仕組みを導入することで、従来は放送機器にアプローチしていなかった企業が進出してきており、かなり注目を集めているということでした。IT業界で広く用いられていた技術(例えばコンテナ技術、監視、データ分析など)を放送のための技術に落とし込んでいました。
放送IP=IPネットワークと思われがちですが、実はもっと幅広い技術を応用することでますます効率的でセキュアな制作や放送・配信が可能になると実感できました。

Virtual Production

もう1つはあまり事前には予測していなかった(私の調査のメインテーマではなかったのもありますが)のですが、Virtual Productionに関する製品が目を引きました。

Virtual Productionのそのままの意味としては仮想空間を活用した映像制作のことですので、現在MBSでも幅広く使われているグリーンバックを活用したCGもVirtual Productionの1つです。一方で、昨今はLEDのディスプレイを背景として映像撮影するVirtual Productionが注目を集めており、既にアメリカではいくつもの専用スタジオが作られており、ラスベガスにも空港の南部にVū Las Vegasというスタジオがあります。
このようなVirtual Productionのメリットとしては、天候に左右されず、また役者の撮影現場の移動時間も必要なく次々と異なるシーンを制作できるため費用削減が見込めることにあるようです。もちろん背景のバーチャル映像を制作するコストはかかりますが、「AIで作れる時代が来ているじゃないか」と言うメーカーもありました。

会場ではVirtual Production用の大型のLEDパネルを展示している企業はいくつもあり、多くの参加者が集まっていました。もちろん日本企業も自社のLED製品の強みとカメラの強みを組み合わせて、他社との優位性をアピールするなどしていました。

まとめ

Google Cloud NextからNAB Showとカンファレンス・展示会に参加しましたが、このようなイベントは時代とともにテーマが変わると言われています。生成AIやIP・Virtual Productionなどが今年のトレンドと感じましたが、来年・再来年、さらにはその先とどのような流れになるのかはまだまだわかりません。時代に取り残されないように情報のキャッチアップを行っていきたいです。

また、このようなイベントに参加する利点としては、普段は会えないような製品やサービスの開発者とお話しできることにあると思います。そのためにはやはり日常会話よりもさらに上のレベルの英語のスキルがとにかく必要だと痛感します。英会話のトレーニングも引き続き頑張っていきます!

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