MBSアナウンサーによる「エンジニアのための伝え方講習」体験記
MBSアナウンサーによる
「エンジニアのための伝え方講習」体験記
毎月開催されている有志の勉強会、『MBS Tech Nexus勉強会』の第23回は特別編として、「エンジニアのための伝え方講習」というテーマで開催されました。とても盛り上がったので、会の内容を振り返ってご紹介します。
エンジニアの天敵?プレゼン
エンジニアとしての日々のお仕事は、黙々とシステムの図面を引いていたり、あるいはラック室で寒さに震えながら結線していたり、キーボードを打ちこみ画面を凝視しながらドライアイと戦うことが多いです。
しかしながら、プレゼンテーションをすること:すなわち、スライドを作って、たくさんの人の前でお話をするという機会もよくあります。
MBSのエンジニアがプレゼンをする機会としては、下記のようなものだったり、
あとは社内向けですが、
- MBS Tech Nexus勉強会のライトニングトーク(LT)
- その他報告会いろいろ
など、登壇の機会が数多くあるものです。
ただし、これらのプレゼンの担当をすることが決まると、
スライドどうしようかな、何を話そうかな、上手く伝えられるかな、など
不安で頭の中が一杯になります。結局当日までそわそわしてしまい、登壇中も自分のお話が下手に感じてしまい、もっとしっかりしたかったな、と反省することもよくあります。
MBSには伝え方のプロがいる!
MBSはラジオとテレビを放送する放送局であり、ニュースを伝えたり、番組の進行を担うアナウンサーがいます。
24時間365日、放送現場の最前線で言葉を使って伝える仕事をしているアナウンサーであれば、プレゼンでそわそわしているエンジニアを導いてくれるだろう……ということで、
今回は、ラジオ・テレビで豊富な経験を持つ、上泉 雄一(うわいずみ ゆういち)アナウンサーが、「エンジニアとしての伝え方」を私たちにレクチャーする、という勉強会になりました。
実際にエンジニアがプレゼンをする
今回の勉強会は、私を含めた数名が5分程度でプレゼンテーションを行い、
上泉アナウンサーがアドバイスを行う、という内容がメインとなりました。
発表したメンバーと簡単な内容は下記の通りです。
樋口 | 「MBSアカウントセンター構想」 |
山下 | 「計算量とかの話」 |
石橋 | 「MyGPTsシュナ先生に英語教えてもらってます」 |
吉岡 | 「Tech Nexus Blogについて」 |
土生 | 「ある悩めるエンジニアの過去現在未来路線図」 |
発表する私(土生)です。実は勉強会初参加+初登壇なので、詳しい自己紹介みたいな、そんな内容にしてみました。
上泉アナウンサーのアドバイス
5人の発表を受けて、上泉アナウンサーによるアドバイスタイムです。
-
どんな人をターゲットにするかの初期設定が大切
→対エンジニアか、そうでないかで変わってくるべき -
プレゼン全体は覚えているようで覚えていなかったりする
→この話はなんだろうという発表全体とつながるキーワードがあればいい -
スライド中心になっていると置き去り感が出てしまう
→反応を見て発表できれば、マニアックな話でも伝わりやすい -
具体的な要素を入れていくのが大事
→想像しやすくなる -
アナウンサーのように流暢に話すことは必ずしも大切ではない
→言いたいこと、発表全体のキーワードが伝わればいい
アウェイの発表で緊張する場面ほど、
「ゆっくり」「はっきり」「大きな声で」! -
事前の練習が大切
→録画して立ち振る舞いや喋り方を見る
嫌だけど自分から離れた感覚で見る -
大阪人はついつい、「ええ話」をしがち
→「ええ話」ではなく「共感できる話」
MBSエンジニアからの素朴なQ&A
せっかくなので、エンジニア陣からのプレゼンお困り、あるいは疑問点についてのQ&Aタイムも行いました!
Q:オンラインの社内発表会が一時間しゃべりっぱなし、みんながついていけているか気になる。質問とかアンケートしたほうがいいか?
A:人間が集中できるのは15分ぐらい。それに合わせて上手くプログラムを作るのもいいし、逆に(エンジニアなら)、ついていけてるかどうかの共有ができるシステムを開発してみたら?
Q:スライドの絵とか図を多めにして、字もあるが全部は読まない発表をよくする。一方、話すことを全てスライドに書き起こす人もいる。どちらがいい……?
A:前者のほうがいいと思います。作文みたいなスライドを朗読するような発表もあるが、スライドはあくまで補足資料。自分が何話しているか見失わないために、練習や意識をしていくべき。
感想
……以上のような感じで、上泉アナウンサーによる「エンジニアのための伝え方講習」は幕を閉じました。
この会を通して、私の率直な感想を述べるとするならば、
「プレゼンというのは、もっと簡単に、真っすぐ伝えるべき」
ということになりそうです。
私を含めて、MBSのエンジニアは多くがいわゆる理系のルーツを持ちます。
プレゼン、発表というと卒論や修論、あるいは学会での発表という場でした。
その場を思い出すと、たくさんの図表や数式を並べ、理論の隙が無いようにこれでもかと文字を埋め、最後のスライドのさらに後ろに、質疑応答で突っ込まれたときに使う補足スライドを何枚も連ねた重たいファイルをこさえたものです。
でも、それはあくまで発表内容が分かっている人たち同士の論戦のきっかけとしてのプレゼンであって、いまMBSのエンジニアたちが行うべきプレゼンは、新しい概念の提案をしたり、より多くの人に技術的なことに対して興味を持ってもらうためのプレゼンだと考えています。
そのために、具体的で共感できる話を、ええ話になりすぎないように、ゆっくりはっきりしゃべる、ということだと感じました。
ちなみに各メンバーの発表の後に、上泉アナウンサーと一人づつ質疑応答のやりとりもしたのですが、私 土生については、発表時より質疑応答時のほうがいい顔だったそうです(!)
なので、発表時も対話のできるマインドでこれからのプレゼンをできたらいいな、と考えています。