IBC2024に参加してきました!

IBC2024

IBC2024が9月13日から16日までの4日間、オランダ・アムステルダムにて開催されています。弊社MBSからは、吉岡が参加しており、現地から最新のレポートをお届けします!

IBCについて

IBCとはInternational Broadcasting Convention(国際放送機器展)の略称で、毎年9月頃にオランダ・アムステルダムで開催されます。米国で開催されるNABやCESと並び、放送局として視察する重要な展示会の一つです。欧州最大規模の放送機器展がIBCであり、映像や音声を手がけるベンダーが多く存在する欧州では、放送やコンテンツビジネスが米国にも劣らず非常に大きな存在感を持っています。
(NAB視察レポートについてはこちら

IBC2024の所感

今回のIBCでは大きく3つの軸で様々な知見を得ることができました。

  • AIの活用
  • クラウドとオンプレミスのハイブリッド
  • IP化の潮流

AIの活用

今回IBCでは初めてAIに特化したゾーンが設けられていました。それだけ放送業界もAIに注目しているということですね。
生成AIをはじめとするAIサービスが各社の製品に組み込まれています。今回のIBCでは、自動翻訳や自動キャプションなどのサービスが多く見られました。
とはいえ、どの会社もAIで生成したものを放送にそのまま使用することはまだしていないようです。最終的には人の目でチェックし、正確性を確認する必要があると思われます。

クラウドとオンプレミスのハイブリッド

クラウドを活用するという流れは数年前から続いていますが、今回目立ったのは、クラウドに保存したデータをどのようにオンプレミスで効率的に利用するかという点です。

例えば、クラウドにアップロードした素材をオンプレミスで編集する際、クラウドからデータを引き出すには大きなトラフィックが発生します。これに対し、レイテンシーを低減するための工夫を凝らした製品が展示されていました。また、SRTでクラウドにアップロードしたデータをエンコードし、オンプレミスでも利用できるようにするサービスもありました。これまでもクラウド上のサービスはありましたが、今回はオンプレミスに物理的なエンコーダーを配置するソリューションも紹介されていました。

クラウドへの依存が進む一方で、エンド端末は依然としてオンプレミスに設置されているため、それをサポートするサービスの重要性は無視できません。放送局などからも、こうした要望が多く寄せられているようです。

IP化の潮流

欧米では、日本に比べてIP化が進んでおり、その流れが日本にも押し寄せています。SDIをIP(SMPTE ST 2110)に変換し、それをどのように扱っていくかに焦点を当てた製品が多く展示されていました。日本の放送局もこの潮流に遅れを取らず、追随していく必要があると強く感じました。

我々放送局のエンジニアは、SDIの利点とIPの利点を理解し、それぞれの強みを活かしたハイブリッドな運用が求められると思います。

余談: IBCでの過ごし方

今後IBCに参加される方のために、今回吉岡が得た知見をシェアします。

その1: 会場で無料交通パスがもらえる

IBC会場では、GVBというオランダの交通機関(路面電車と地下鉄など)を無料で利用できるパス(96時間有効)をもらえます。これを使えば、ホテルからIBC会場のRAIまで無料で往復できます。初日に会場に着いたら、真っ先に無料パスを受け取ることをお勧めします。(個人的にはTramという路面電車が便利でした)

その2: Delegate Passについて

IBCには、Delegate Passという有料パスがあります(早期購入で1000ユーロ)。このパスを持っていると、Delegate Loungeに入場でき、特別なセッションに参加したり、飲食を楽しんだりすることができます。予算に余裕がある方にはおすすめですが、有効活用できるかどうかは人それぞれかもしれません…。

その3: 期間中の各種イベントについて

期間中、アムステルダム街中でベンダー等の主催するイベントが連日連夜開催されています。貴重な機会ですので、それらに足を運ぶことを強くお勧めします。オフレコトークで貴重な情報を得ることができます。日本人のみだと億劫になるかもしれませんが、恐れることなくトライすることをお勧めします!

(EVSさんの30周年イベントに参加させて頂きました!)

最後に

今回、私にとって初めての海外視察でした。多くの社外の方々(同業他社やベンダー)と交流する中で、大変刺激を受けましたし、普段は触れることのない新しいサービスに触れる貴重な機会となりました。これらの知見を日本に持ち帰り、同僚に早く共有したいですね。

欧州をはじめとする世界には、日本にはない技術がまだまだ多く存在しています。今こそ海外に目を向けるべきだと改めて実感しました。今後も継続的に海外視察を行い、放送業界をさらに盛り上げるために、同業他社の皆さんとも協力していきたいと思います。

PS: やはり英語は普段から勉強すべきですね…。精進します…。

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